まちづくりと家庭医2

家庭医がコミュニティを育てる日々の記録

カルテチェック

研修医のカルテをチェックしていると、すこしやっただけで多くの問題が散在しているのにぶちあたる。経管栄養の是非、検査計画、狭い鑑別診断と洞察がもたらすスピードダウン、そして、コミュニケーション不足によるスタッフ間の葛藤。なんとなく検査だけたくさん入れてしまって袋小路に入ったまま、押しも引きも出来ない状態になっていることも多い。
こういう状態のとき、レジデント間で意見を言い合うというのは忙しい日常の中で皆無に等しい。下級のレジデントには指導というかたちで意見を言えるけれど、同級レベルでは無理なのだ。チーフレジデントの役割の中でもそこまでを求めると際限なく仕事が増える。これまでの経験では、やはりオープンなディスカッションで直接解決して行くしか道はなかった。すくなくとも医者のなかでのコンセンサスをしっかりもって、さらにナースやリハビリへも広げて行く必要がある。凝り固まった個人的な治療方針から脱却するにはそれしかない。
そんななかでも指導医のストレスは増大する。empiricにもならない抗生物質治療、無駄が多い検査計画、患者本人が面談に入らない方針決定など研修医のパワーは放散するばかりである。これらの難題に立ち向かうことこそ研修指導医の仕事そのものである。あーあ。