まちづくりと家庭医2

家庭医がコミュニティを育てる日々の記録

自らを省みる

研修医を叱りたくなったとき、どうしているだろうか。ひどい点滴の指示が出ていて、患者に危害が加わりそうになっている。すぐに、研修医を呼びつけて、矢継ぎ早に理由を話し、指示を変えさせる。
こういった場面でも実は慎重な対応が必要である。理由も聞かずに対応を変えさせるというのは人権無視が顕著に現れる。医師の裁量権はどこへやらである。いったん叱ってしまうと気まずくなり、あとでなんとはなしにほめてみても後の祭りでなんとなくわざとらしい。
こういうときもやっぱりフィードバックの方法が使える。

  1. 考えを聞く
  2. 根拠を述べさせる 

ここまでは必ずやるべきだが、ここがどうしてもおろそかになる。すぐにこうしろ、ああしろと指導医はいいがちだ。そんな権利は実はまったく持っていない。だって、研修医も大人なのだ。成人教育には無理矢理という言葉はないはずである。

  1. 一般論を述べる
  2. ほめる
  3. 間違いを正す

ほめたり、叱ったりというのはそのあとに好きなだけ行える。飲みに連れて行って、あとからいろいろ本音を話すので十分なのだ。叱ってもbehavior modificationはない。こういう文化はあまり浸透していないように思える。実践しながらもエバンジェリストの役割も必要かなと切に思うところである。