まちづくりと家庭医2

家庭医がコミュニティを育てる日々の記録

いったい医者ってものは

臨床研修交流会が終わって再び研修に目が向く。マッチングは結局某教授の大学病院だけが人数増加しただけで、ほとんどの地方大学は増加なし、うちのような3000件を満たさない経過措置の病院も例外なくその影響を受けた。残ったのは、

小さい病院ではまともな研修ができない

というネガティブメッセージだけである。この発言をした先生は多分厚生労働省の研修行政には関わらないだろうから、まあ、いいっぱなしで庭を荒らして出て行った格好だ。ああ、小さい病院、主に民医連、医療生協に属する200床以下の弱小臨床研修指定病院である。マスコミも取り上げることもなく、なんとなく狭間でつぶれていってもいい病院と思われていて、そこらへんで院長の家族経営で数人でがんがん検査をまわしている商業主義経営至上主義病院と同列の扱いである。臨床研修義務化後にもっとも研修医から支持されていたのは中小病院だったのだが、そういうデータは無視されている。たくさん手技をやったって、肺癌患者ばっかりみたって、ぐるぐるいろんな科を回ったって、患者の問診がうまくとれるようにはならないし、患者の気持ちがわかる医者にはならない。
しかし、逆転のチャンスはまだあるはずだ。ネットワークを組んで研修の質を示すような臨床研究を出すとか、主な患者層である社会医学的なアプローチを言語化する方法もあるのではないか。そういう意味では楽しみな闘いが待っている。「笑って死ねる病院」はNNNドキュメントで放映された金沢城北病院の本、これもよし。

笑って死ねる病院 (ワニブックスPLUS新書)

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