まちづくりと家庭医2

家庭医がコミュニティを育てる日々の記録

指導医のコメント力

家庭医療の研修医を育てるのに月一回の振り返りが行われている。レジデントデーと言われて、私が関連しているところだと、王子、東京民医連、医療生協などが同じような形態である。一ヶ月に会った出来事をまとめて報告し、指導医とディスカッションする。
そこで指導医に必要とされるのはコメント力だ。研修医が選りすぐって出してきた事例から、ここという肝を見出してさばいてみせなくてはならない。しかも瞬時に。
とうとうと講義すればいいというものではないから、ああ、そんな視点もあったのねと思わせるような言い方が求められる。研修医の行動を否定せずに、本来向かうべき方向を指し示すことが雰囲気をよくする。
これがなかなか難しい。ともすれば、自分の自叙伝を語りたくなるもので、多分そんなものはまったく役に立たない。欲しがっているのは、経験とエビデンスから導きだされたパールであり、知恵なのだ。
私たちのような東京での後期研修は完全に都会型といっていいもので、本当に何でもできることを要求されない分、自分のアイデンティティを持たないとやっていけない。家庭医としての基礎的なふるまいへのこだわりも特に必要なようだ。
なかなか名コメントを出せるようになるには修業が必要なようで…まだまだ精進しなくてはならないだろう。