なんでそんな状態で送ってくるんだよっ!もうちょっと診療所でなんとかできないのかというクレーム、医者の実力もありますがどうやらそれだけではないようです。
高齢者のAmbulatory care-sensitive conditionsと家庭医 - 藤沼康樹事務所(仮)for Health Care Professional Education
Freudら[iii]は、ドイツのある地域の拠点病院における入院患者の中で、ACSCsと判断された104事例をとりあげ、紹介元の家庭医に「この入院は防ぎ得たか?」というテーマでインタビュー調査を行うという非常に興味深い質的研究を行った。その結果として、プライマリ・ケアの現場及び医療政策への提案として以下のような意見を提示している。
- 患者の社会的背景、服薬アドヒランス、セルフマネージメント能力などを評価し、ACSCsで入院のリスクの高い患者を同定すること。
- 処方を定期的に見直すこと。
- 入院のリスクの高い患者には定期的に電話で状態を聞くこと
- 患者及び介護者にセルフマネージメントについて教育すること。とくに症状悪化時の対応法
- 患者に必要なソーシャルサポートシステムや地域リソースを探索すること
- TV電話や遠隔モニタリングの導入
- 患者にかかわる各セクターとの日常的なコミュニケーションの強化する
- ACSCsで入院となった責任は各セクターで共有すべきで、プライマリ・ケア現場のみに帰するべきでないという合意形成する
- ACSCsに関するデータの継続的集積
- 医療者教育において異文化コミュニケーション教育を重視
今現在、通院する外来患者の複雑性について研究していますが、医師がなんとなくこの患者やっかいだなと思うパターンは決まっているようです。Minnesota complexity assessment methodの解説書には複雑性を持つ患者が出すサインが例として挙げられています。
A few signs of complexity:
Number of doctors 医者の数
Number of medications 処方の数
Number of visits 通院の数
Number of services サービスの数
Number of failed services 失敗したサービスの数
Number of diagnostic tests 診断的検査の数
Number and length of admissions 入院の回数と期間
Number of diagnoses & specialists 診断と専門医の数
Number of unplanned clinic & ER/UC visits 計画しない救急受診
Involvement in multiple helping systems 多数の援助システム
Difficult patient / clinician relationships 患者医師関係の困難
Lack of information on any of the above 情報の不足
Large gap between patient and clinician view on how severe the symptoms are—or are expected to be 症状に対する認識のギャップ
From “Crossing the Quality Chasm”, Institute of Medicine (2001):
“In increasingly complex patient populations with multiple health risks and needs requiring integrated care, our historic fragmented health service delivery . . . leads to miscommunication, redundant, low quality, and dangerous care.”
事前にスクリーニングできていれば、無用な入院を防げるかもしれません。
特に非常勤が多数を占める診療所などでは、責任性、継続性の点で落ちるので、次に整備するならこの辺かとと考えています。
いつももっとどうにかできなかったと思いますが、入院についても予防という観点をとりいれることが鍵のようです。
では。