まちづくりと家庭医2

家庭医がコミュニティを育てる日々の記録

下町不健康?!学会

いつだったかわかりませんが、区役所に用事でいくたびに見かけるベンチで将棋を指している男性たちが気になり、あの人たちはどんな人たちだろうと思うようになりました。

普段、医療の現場で仕事をしていると、どうしても型にはまった考えで判断してしまうところがあります。外で昼間から将棋なんか指しているのは、どうせ暇な年金暮らしの老人だろう。もしくは、生活保護受給して健診にも来ない人たちだから、少し介入しなければならないぐらいの上から目線だったかもしれません。

荒川区というのは昔の下町と呼ばれたところで山の手の区に比べて庶民的な雰囲気があります。隣の文京区は文教地区で収入も段違いの住民が住みやや趣が異なります。他に台東区、足立区、北区、墨田区などが隣りあっていますが、それぞれの気質があると思います。

生協という地域志向の医療機関で仕事をしていて、訪問診療で地域に出向いたり、健康教室を開いたりしても、何か本質が掴めていないなと感じて攻めあぐねているような感じでした。ヘルスプロモーションといっても何か形式張っているし、健康カフェをやっても本当に来てほしい人には届かない。。今、医療界では地域包括ケアの勉強会が花盛りです。制度に間に合わせるためギリギリの時期なのでしょう。

今回、「不健康」というタイトルに惹かれて来てくれた方がたくさんいました。自分が不健康だと思っている方、健康を推進する立場の保健師、同じくヘルスプロモーションを進めている仲間も久しぶりに荒川に来てくれました。遠くは群馬の医学対の方まで。地元のいきいきサロンに参加している元気な女性の方も。

私達のいくつかの調査を経てわかった結論は、
「とにかく外に連れだそう」
ということです。 

高齢の寡黙な男性は孤独でいいのか、それも許容する? 
でもどんどん不健康になる。お歌をうたうのがいやでデイサービスに行かないのは是か非か。外に出たら運動しなければならない? いやしなくてもいい。ゲームしたっておしゃべりしたっていいわけです。

将棋だっていいわけです。区役所前の将棋盤は彼らにとってのサードプレイスでした。そこにはしっかりと規律があって健全な「居場所」になっていました。過去にはその場所でお酒を飲む人がいたり喧嘩が発生したりといった問題の場所だったそうです。そこにいる人達は家から外に出てくるという時点で人と交わる意欲があるわけですから第一関門突破です。奥さんが亡くなったり一人暮らしだったりして寂しいわけです。そんなに友達と呼べる人もいないのが現実です。

もともと男性にとっては集団で仲良くする場所が居心地がいいとは限りません。適度な距離があり、黙っていてもかまわない「居場所」が必要です。

医療機関に通う人にとってはそこが「居場所」でもあります。
高齢者であってもこどもであってもそれぞれが心地良い場所を生み出せるかか課題となります。

次は第3シーズン〜いよいよアクション

この学会で出てきたアイデアは男性が好きな「青空マージャン」。

多分本気です。

では〜。

 

下町不健康?!学会 - あらかわまる福プロジェクト