まちづくりと家庭医2

家庭医がコミュニティを育てる日々の記録

新しくない専門医制度

私が持っている家庭医療専門医は、諸外国でいう家庭医を認定する専門医です。学会が認定して、5年に一回試験とポートフォリオ(診療実績みたいなもの)を提出して更新します。初めの試験には実技試験があるのてきちんとした評価がわりとされていると思います。(

 

日本のほとんどの専門医はペーパーテストだけで、もちろん国家試験もそうですが本来の実力が測れているとはいえないものです。

 

そんな専門医制度で実際に患者さんが信頼して選ぶことができるのかと疑問に思う人が多くいました。ほぼ医師の欺瞞というかハクつけというかそんなもので、医師の名刺を埋めるだけのものだったと思います。

 

それで今回の新専門医制度に期待した向きもあったと思います。何か変わるんじゃないかと。

 

でも、何も変わりませんでした。

 

 

学会主導ではなくなりましたが、専門医機構が全てを決める新しい医局制度ができました。

 

 

質を担保する施策はなく、学会任せのまま、どんな専門医を作るかではなく、どこに配置するかだけの制度になりました。

 

 

全部の科を研修すれば、総合的に診れるようになるというのは間違っています。総合職と専門職で働き方、考え方が違うのは当たり前ではないでしょうか。統合する能力と分断する能力は全く違う。

 

都会では医療難民が増えています。混みすぎる大学病院にかかれない高齢者、行き場のない精神疾患の患者、かかりつけに専門外と投げだされた患者。自分の専門ではないからと小さな傷も診ない、内科医なのに糖尿病が管理できない別の医院を紹介する医者もいます。田舎でも同じで、結局狭い専門の先生が来ても、1人しかいない診療所では役に立ちません。

 

まだ、開業医の専門分野に合わせて患者が医者を選ぶ時代が続くのでしょうか。近所の医者ぐらい、なんでも診てくれる総合診療医でもいいんじゃないでしょうか?