まちづくりと家庭医2

家庭医がコミュニティを育てる日々の記録

おせっかいな人

 

その島のひとたちは、ひとの話をきかない――精神科医、「自殺希少地域」を行く――

その島のひとたちは、ひとの話をきかない――精神科医、「自殺希少地域」を行く――

 

 

毎日、インフルエンザの診療ばかりしていて、なんだかこういうことのために医者になったのかとため息をついたりもしたけれど、合間に以前さらっと読んだだけのこの本をあらためて読んでみた。

 

以前に、学生向けのセミナーでしていたおせっかいというセッションは、その名の通りお節介な医者を目指しましょうというものだった。いつもなら通り過ぎるであろう人に突っ込んで関わってみましょうというような感じだったと思う。

 

家庭医もそういう風に考えていて、まあそうでもないただの学問体系だと認識する方もいるだろうからそれ自体がそうとも言えないのだけれど、だからこそ別に地域活動なりをやっているのかもしれない。

 

田舎で診療をしていると、思ったより人々の関係性が薄いことに気づく。名前も知っているし、家族構成もわかるのに、そんなに親密かというとそうでもない。みんなで集まって飲むのはやっぱりサークルだったり自治会だけでそれ以上ならみんなが仲良いわけでもない。少しだけ冷たい感じもする。

 

都会はどうかというと、地域ではそれこそ外からの人と元からの住人には厚い壁があるし、電車の中は他人しかいない。同じ組織にいたとしても、個人的なことは話さないし、関わろうともしない。だからなんだか寂しい。

 

もっとあたたかさが欲しいと思うのだけれど、ちょうどよい距離がなかなか掴めない。

 

この本に書かれている、人の話を聞かない島の人というのはとてもよいなと思った。自分がしてあげたいことをして、相手を歓ばす。相手がどう思うととりあえずほどこす。迷惑かもしれないけれど嬉しい。

 

医療者でもなんでもとにかく遠慮がちな人がいる。希望していないので、それはわたしにはできない、偉い人に聞かないとできません。。な返事ばかりで。。

 

オープンダイアローグもそうやって全てをさらけ出す中で治療していくというものならばとても楽しい。ちょっと体験してみたくなった。

 

自分が仕事以外にやりたいとしたら、そんなオープンな場だ。いまはいろんな人が始めているので、それができるのなら自殺を減らすことだけでなく色々な不安を抱えた人たちに役立つのではないだろうか。頑張ってみたところで社会学者や哲学者にはなれないので、実学的な医者の立場で何かしてみたいと思った。