まちづくりと家庭医2

家庭医がコミュニティを育てる日々の記録

「日本の総合診療が学ぶべきもの」を読んで思うこと

藤沼先生の記事から

fujinumayasuki.hatenablog.com

これまでの日本における総合診療に関する議論の経過とステイクホルダー達の発言をたどる限り、日本の総合診療専門医の医師像とは、

1.診療所(病院も含む)の非選択的外来診療、在宅医療、地域の保健予防活動を担うプライマリ・ケアの専門医(ほぼ家庭医療に一致する)
2.病院において必要に応じた病棟医療、一部救急医療や外来診療を担うPhysician for adult medicine≒ホスピタリスト≒(総合)内科医

家庭医と総合内科医が1つの名称としてまとめられてできたが総合診療専門医。なんとなくあっている気がします。

それに対する藤沼先生の対策はこうでした。

1.プライマリ・ケア中心のヘルスケアシステムにおける登録制導入の重要性
2.病院医療における総合診療部門の必要性
3.総合診療医を量的質的に確保するための医学部卒前卒後教育のカリキュラム
4.各科専門医から総合診療医へのコンバートを可能とするための条件整備

自分の今の立ち位置は、比較的人口の少ない山間部の診療所で働き、総合診療専門医の学生教育と初期研修医、後期研修にコミットできる立場にある指導医で、学会プログラム責任者ではない。したがって、病院での総合内科からは遠くなってしまっており、ほぼ家庭医の仕事しかしていません。その私が思うこと。

 

自分自身が最も関わっている3の卒前卒後教育。経営的にというよりも総合診療をどの程度大学が重視しているかによって決まっているのかなと思います。総合診療を振り分け+救急程度と考えるか地域医療の基盤として採用するかはリーダーによって変わってしまう。「総合診療部」のありようが日本中千差万別。

2の病院医療については、僕の経験上は内視鏡もしくは透析ができる一般内科の医師かつ研修医教育ができるというようなある意味スーパーマン的な役割が必要でした。そうではない医師は教育担当として存在し総合内科を任されていましたが数は増えませんでした。ニッチな存在です。

4は呼吸器内科、消化器内科、腎臓内科のコンバートのほうが数が稼げるかもしれません。学生たちは総合診療に興味を持ちつつも結局臓器別内科を選んでいきます。結構、潜在的ニーズがあるはずです。問題は非選択的が診療できるかということです。

私自身は1に関連しての仕事が一番期待できるところだと思っています。国自体が変わることが難しい現状では、家庭医的なクリニックが増えていくことが一番患者のためになる。登録制に近い形での囲い込み(悪い言葉でいえば)がオープンにされていったらおもしろいですけど。

ということで藤沼先生のブログ乗っかり投稿でした。

ついでにこの前書いたこちらもどうぞ。

note.mu

では。