まちづくりと家庭医2

家庭医がコミュニティを育てる日々の記録

かぜで出る薬たち

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週刊誌を読んでいたら、かぜの診療について書いてあった。市販薬を買えばいいのにわざわざ受診するから病院が混む、かぜ診療をやめたところもあるらしい。

診療所では慢性疾患以外はほぼかぜ症状の人が来る。何の変哲も無いかぜ。かぜなんですけど…と自ら名乗って来られる方すらいる。昔ならかぜなんでしょ、と思ったりして、医者としてはモチベーション駄々下がりであった。

よく散見するのは総合感冒薬を出してしまう場合。これさえ出しておけば全部カバーするからと先輩に教えられたもの。私はこれをやらない。特に抗ヒスタミン剤の成分が眠気を誘うからで、高齢だと転倒するか他の薬剤の効果を増強させる。

何故だかわからないけれど、ロキソニンとフロモックスというパターンも多い。非ステロイド系解熱鎮痛剤と抗生物質を組み合わせれば大抵効くだろうという考えである。もちろん何にも効かない。なんとなく効いたように見えるのは自然治癒の経過を見ている。

しまいにはステロイドを少量混ぜて出すような処方もある。これに抗ロイコトリエン剤と気管支拡張薬を混ぜて、喘息とCOPDもカバーしますとかいう先生を見た。思考停止した医者は怖い。

そのため、良識ある医者は出来るだけ害のない、症状を和らげる薬を選んで出す。しかし、残念ながらそれほどよく効く薬はない。あなたの症状に合わせて効くといった宣伝文句はほぼ虚偽に近い。

 

それでも医者にかかるとしたら、かぜと思うけれど、なんとなく変、いつもなら数日で治るのに治らないといった場合だろう。

熱が1週間も下がらない

食欲が落ちている

息苦しくて夜眠れない

 

この話は総合診療医なら当たり前の診療だろう。

しかし、専門治療の合間についでに語られたかぜ症状に対しては、そこまで気を止めることなく、総合感冒薬もしくはかぜセットを処方される場合が多い。

そしてまた、そのバックグラウンドにある患者さんの状態が問題で、家族の介護で寝ていない、会社の立ち上げで超多忙、コンビニの連続夜勤で喫煙やめられない、なども誘因であったり。

 

自分はどうかといえば、かぜっぽいなと思ったら、アセトアミノフェンを頓服するくらいで他には何もしない。誤ってビタミンドリンクを大量に買い込んだり、布団かぶって寝て汗をかこうとする。ウイルス感染には何も効果なし、ほとんど宗教でしかないな。生姜とかにんにくとかも悪くはない。

ではまた!