まちづくりと家庭医2

家庭医がコミュニティを育てる日々の記録

コミュニティカフェとサードプレイス

クリニックがコミュニティカフェに向かっていると気づいて読んだ本からの論文紹介です。

コミュニティカフェと地域社会――支え合う関係を構築するソーシャルワーク実践

コミュニティカフェと地域社会――支え合う関係を構築するソーシャルワーク実践

 

 

家庭でも仕事場でもないサードプレイスがないといけないと思い始めてから、自分の仕事である医療はそこに関われるかを考えていました。

医療機関は病気になったときに行くところ、という既成概念から、家庭医として働く中での予防的立場を意識すると、普段から馴染みのある場所というのが最適ではないかと思うようになりました。

それが別の場所、喫茶店でも花屋さんでもいいけれど、病気がある人にとってはクリニックがそういうサードプレイスになったら便利なのではないかとも思います。

 

地域コミュニティにおけるサードプレイスの役割と 効果 片岡 亜紀子, 石山 恒貴
法政大学地域研究センター 2017

http://kenkai.ws.hosei.ac.jp/wp-content/uploads/2019/05/0516kataisi.pdf

 

この論文では、サードプレイスの役割と効果に焦点が当てられており、これまでは交流型とマイプレイス型が存在しており、交流型のようななじみのあるものから、スタバなどの外であるのに自分の安らぎの空間がもてる場所まで広がってきているが、さらに交流型の中の目的交流型に注目しています。

研究は半構造型インタビューの形で行われ、2つのグループが対象です。子育てサークル、コミュニティカフェからできた非営利株式会社と、横浜港南台で新しいまちづくりを目的としたコミュニティカフェの二つでした。背景は社会的にはつながりの希薄さ、また個人の地域活動への意欲が関係しています。

この中で、それぞれの団体への個人的な参入方法が段階的でいくつもあること、さらに物理的だけでなくネット上にもサードプレイスが用意されていることがうまく働いているとの結果が示されています。サードプレイスの効果の共通点として「女性のキャリア形成」と「地域活性」が挙げられています。

実際の実践ではサードプレイスを運営するキーパーソンの当事者としての問題意識、そこに段階的に参入できるしくみをつくり、地域と連携するハブとしての機能を果たしていくことが必要と書かれています。

 

この論文で新しいと思ったのは、参入するときのネット媒体の使い方で、実際に参加が難しい段階でもちょっとFacebookでいいね!されることが、例えば子育て中の女性の段階的に参加にはよいという話。ああ、確かに今そういうことがよくあるし、ネットが自己肯定に果たす役割は結構ありそうです。

 

第二に、女性のキャリア形成そのものがそこで行われるというのは、例えば、パートタイムで働くことができる働き先として選ぶすることも多く、自宅から近いところで職場が選べるという利点に気づかされ子育てをしながら元の職場に戻り、時間に追われてしまいがちだが、説明会などで自分のできることを見つけ段階的に参加できる可能性が示されています。

 

では私のところではどう生かすことができるのか。女性医師を含めた働き方改革という面と、地域コミュニティと繋がるクリニックをつくるという命題、その両方を実現したいと思うので、そこはポイントかもしれないと思いました。もちろん、クリニック運営単体でも人材をどうみつけるかという点で参考になりました。

 

こんな感じで自分が読みたい論文を載せていこうと思います。

ではー。