家庭医療をやっている人なら多分ご存知なポートフォリオ。
現在では総合診療専門医の研修にも採用されている。
もともとは写真家や画家の作品集のような形で使われていた言葉だが、
転じて、小学校などの学習で成果を束ねる紙ばさみとして、
せっせとバインダーに綴じていたもの。
今はもとの言葉どおり、それらをみればどんな仕事をしたか、
ひと目でわかるようなものを指している。
医学教育の形成的評価で用いられることが増えている。
自分がポートフォリオの指導をしてきたかというと実はそうでもない。
実際が作ったのは自分が試験を受ける段になってからで、
もちろん研修中には作っていなかった。
直接指導したのも自分ではなくその下の世代だった気がする。
だからエセ指導しかできない。
でもこんな感じがポートフォリオなんだろうなというおぼろげな感覚は
あると思っている。
各分野のまとめみたいなものをつくるのだけれど、
・総合診療専門研修で修得すべき7つの資質・能力
1. 包括的統合アプローチ
2. 一般的な健康問題に対応する診療能力
3. 患者中心の医療・ケア
4. 連携重視のマネジメント
5. 地域包括ケアを含む地域志向アプローチ
6. 公益に資する職業規範
7. 多様な診療の場に対応する能力
この7つ。研修責任者をしているときはACGMEとかいうアメリカの卒後教育を行う期間の目標を真似してやっていたけれども、それにも似かよっている。
もちろん家庭医が一番近い。
この「統合的」ってのがわかりにくい。
統合医療のことかと一瞬思ってしまう。
1) 疾患のごく初期の診断を確定するのが困難である未分化で多様な訴えに対応し、また複数の問題を抱える患者に対しても、安全で費用対効果に優れ、不確実性や自己の限界を踏まえた医療・ケアを提供できる
2) 日常診療を通じて、恒常的に健康増進や予防医療を提供することができる
3) 医師・患者関係の継続性、地域の医療機関としての地域住民や他の医療機関との継続性、診療情報の継続性などを踏まえた医療・ケアを提供できる
これは「統合的ケア」のことだろうか。
そうなんだろうな。
これをわかっているひとってどのくらいいるんだろう。
総合診療の現場では、疾患のごく初期の未分化で多様な訴えに対する適切な臨床推論に基づく診断・治療から、複数の慢性疾患の管理や複雑な健康問題に対する対処、更には健康増進や予防医療まで、多様な健康問題に対する包括的なアプローチが求められる。そうした包括的なアプローチは断片的に提供されるのではなく、地域に対する医療機関としての継続性、更には診療の継続性に基づく医師・患者の信頼関係を通じて、一貫性をもった統合的な形で提供される。
複数の分野の問題を統合するということか。だから、これは内科と整形と鍼治療といろんなものが関わっているものが対象。
もしくはいろんな人が関わっているもののことか。
いつもBPSモデルとごっちゃになる。
Bio-psycho-social(生物心理社会)アプローチ
なんか社会が入ってくるから、統合してる?って思うけど、
ちょっと違う。
こっちは一つの個人の中でいろいろな側面から見るという話。
なんかこれも統合な気もするけどなあ。
これは分野的に患者中心の医療よりなようだ。
つっこみお待ちしています。
よく見ると、旧家庭医療専門医のポートフォリオと
新・家庭医療専門医のそれは随分ちがう。
来年更新なんだけどなあ。
では。