まちづくりと家庭医2

家庭医がコミュニティを育てる日々の記録

お、おなかはみなくていいんですか?

今日も外来が昼すぎまでかかった上に、午后も往診の件数も多くて、しかも夜間も健診にあてられている。いくら診療所と言ったって働きすぎだろう、とブツブツ言っていたが、若い方の健康診断なんて病気もないし、まあいいだろう、どうせ。とか思っていたら、腹部所見をとりわすれてしまった。。
昔から思うのだけど、おなかを触るのって必要なんでしょうか?
ちょっと調べるとMindsに載っていた。

http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0051/1/0051_G0000137_0017.html

Question
健常成人に対して、特定されていない疾患を発見する目的で、身体診察を行うことは推奨されるか?

推奨 そのような健診項目を実施することが推奨できるともできないとも言えない。(推奨レベルIns)
しかしながらプライマリ・ケアの現場では、良好な医師患者関係の構築など、スクリーニングの直接効果以外の効果についても、考慮すべきである。

もうすこし詳しく言うと、

3.推奨レベル設定に関する考察
身体診察がどのような疾患を対象としているか明らかではないままに、スクリーニングの目的で行われることがある。このような身体診察は、対象疾患が明らかではなく有効性・妥当性が不明であり、健診項目に一般的に求められる条件を満たしていない。また、全ての医師が全ての被検者に対し、同じように身体診察を行うことができるとは考えられない*1。身体診察は、元来ある特定の対象疾患を目標としたり、症状のある人に対する原因検索や鑑別診断の目的で行われたりするものである。
しかしながら身体診察の重要な点として、医師が直接、患者に触ることの重要性や、友好、信頼関係の構築が挙げられる。これらのメリットは否定できない一方で、スクリーニングとしての身体診察の評価を超えている。これらの理由より、身体診察は健診項目として推奨できるともできないともいえないとした(推奨レベルIns)。

一度に50人も診る健診で信頼関係を構築する?わざわざベッドに横にならせて膝を曲げて、見られたくないお腹を診るのか。大動脈瘤か大腸癌を見つけようとかで外科医上がりの健診医が一生懸命おなかを触るのだと思っていた。逆に意味をもって疾患を見つける場合もあるのだろうが。。

さて、あなたはどうしますか?

*1:Oboler SK, LaForce FM. The periodic physical examination in asymptomatic adults. Ann Intern Med. 1989;110(3):214-26.