まちづくりと家庭医2

家庭医がコミュニティを育てる日々の記録

田舎医者が足りない

医師にとって、都市部で働くのか田舎での医療を選択するのかは、多くの人が迫られる命題です。

私は超田舎で生まれ育ったせいで田舎暮らしの大変さをわかっているつもりなのですが、一周回って、現在はやや田舎と呼ばれるところで仕事をしています。

田舎はやっぱりキレイな自然があり、人が優しかったり、人混みもなくて気分的にも落ち着けるという意味では魅力ある場所です。

でも、住むとなると・・みんな考えてしまうのかもしれません。診療所に1人医師を配置して、24時間365日担当してもらうというようなやり方はもう立ち行かなくなっていると思います。

 

そうなると、夜間は救急病院を受診してもらうというふうにするのが現実的かもしれません。

もしかしたら看護師が死亡診断書が書けるようになるとこの辺りも解決するのかも。12時間医師が来られないとかを想定しているらしいので、違う目的な気もしますが。でも、スマホで写真を送るとか考えた人はちょっとおかしい?

ですが、住民にとっては、夜中も頼れる先生が同じ地域に住んでいてくれるという安心が奪われてしまう。

例えば偽医者だったとしても(これは違いますが・・)

 


『ディア・ドクター』予告編

 

田舎もグループ診療を考えるでしょうが、これも人材不足やなにやらで難しい。

バスが減ってしまって困っている地域がありますが、バス会社にとってみれば死活問題ではあるわけです。乗る人がいなければ運賃が稼げない。

公的機関だから赤字垂れ流しでよいという時代でもありません。公的診療所も全国的には診療日数を減らすか統合するというところがあります。

 

昔から研修終わりの30歳前後の医師が数年ずつ回しているのがこれまでのやり方です。結構勉強していて、やる気もあって、地域に向かう気持ち十分。それで活性化していた部分も大きい。

 

facebookで頂いた田舎で働いた経験のある先生は

田舎の診療所で家庭医が仕事をする(それも若いときに)メリットは(インセンティブといっていいか)

1)コミュニティが小さいので「近接性」を強く経験できる。
2)病気になる前から住民同士としての関係があるので「継続性」も経験できる。
3)多科の医療機関がないので、選択性のない問題が持ちこまれるのを経験できる。「包括性」
4)医療機関がひとつやふたつで、ほかの介護福祉施設(訪問看護、訪問介護、入所施設、行政窓口など)がひとつずつくらいしかないので、多職種連携、在宅医療でのチーム構築などが容易で経験しやすい。「協調性」
5)都会の病院ほど忙しくないことが多いので、日常の診療などを振り返る時間がたっぷりある。

この経験を2-3年して(そのためにはIoTを介した人脈=同僚・先輩・後輩とのやりとり、指導医の指導が必要ですが)、都市部などに戻れば、成長が早いと思うんだけどね。

とコメントされていました。

ほぼ同意します。

ただし、これが分かった上で田舎を志望する研修医はいないだろうと思うので、どうやってアピールできるか。

総合診療、家庭医療が好き!というならまだありえる。

もちろん総合診療医なら田舎に喜んで行くか?というと、そうでもなくて、都会というか都市部でやりたいという人の方が大半です。

 

数年交代で勤務するか、もっと楽しい方法で攻めるか。少なくとも地域枠とか金でせめてもダメなことは自明ですが、まだまだ考えはまとまりません。多分、まちづくりの手法で考えるのかな。

 

ではー。