まちづくりと家庭医2

家庭医がコミュニティを育てる日々の記録

小さな診療所の良さ

小さな診療所では人員が少ないため仕事と境界があいまいです。
看護師が薬の準備をしたり、会計に回ったり、事務が突っ込んだ問診をしたりしています。
所長も診療所のトイレ掃除から何から気づいた人がやるようにしています。
それが当たり前といえば当たり前でした。

翻って病院はどうだったかというと、基本的には役割分担がしっかりしています。外来で考えても、看護師さんはセンターにいて検査予約に忙しく、外来が広すぎて患者さんと楽しく歓談するようなことはありません。医師は自分の仕事をこなすので精一杯で、組織の一部だという認識でした。病棟でももっぱら患者の診察と治療方針を決めてそれを伝えることが主で、多職種の仕事に気を配ったりしていません。事実、医師は病棟配属ではなく医局付で、看護集団とは別物とされていました。医師が看護教育に口を出すことなどありえません。たまに意見が欲しいといわれて看護の会議に出るとその違いにギョッとしていたのです。

考えてみたら、最初に入った病院は100床に満たない小さな病院でしたから、トイレ掃除のおばさんも顔見知りで、みんなが家族のようでした。言いたいことはいい合えたし、喧嘩する人もいました。まだ職員で旅行に行ったりする時代でした。

診療所と病院のあいだみたいな場所でやっていて、やっぱり組織って大変だなぁと。自分で開業したら楽だろうなあと思っても、やっぱりまた組織になります。
組織の中でのいざこざをどうしていくか、多分この10年さらに追求していくのだと思います。これからは離れられないのでしょうねえ。。

ではー。学習する組織――システム思考で未来を創造する

学習する組織――システム思考で未来を創造する