まちづくりと家庭医2

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【臨床研究】在宅医療に基づく医療で地区看護師と協力したときのかかりつけ医の経験。グラウンデッドセオリー研究

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bmcfampract.biomedcentral.com

途中まで書いたブログが消えてしまいました。。でも、中身は残っていたので気を取り直して書いてみましょう。

なんとなく医師ー看護師関係を調べていたら、在宅での訪問看護師との調査を見つけました。例の如く、質的研究ですが、今日はグラウンデットセオリーを使っています。

 

 

 

在宅医療に基づく医療で地区看護師と協力したときのかかりつけ医の経験。グラウンデッドセオリー研究

バックグラウンド

- スウェーデンの在宅医療
- 2010


目的


- FP(Family Physician)が経験した在宅患者の治療におけるFPとDN(地区看護師,Districted Nurseのコラボレーションのプロセスを明らかにし、このプロセスに影響を与える要因を明らかにするためのモデルを開発すること


方法

参加者


- スウェーデンの家庭医(FP)
- 13名
- ヘルスケアセンター(HC)に雇用されている


分析

- グラウンデッドセオリー手法(GTM)*1

 

データ収集


- 半構造化面接*2

- 45-90分
- 場所はヘルスケアセンターのFPのオフィス

理論的サンプリング

- 一番目のサンプル
- DNによる在宅ケアを受けている患者の1人について話す(1-3)
- 多くのFPは、リストされているどの患者がDNによる在宅ケアを受けているかに関する情報を持っていなかった!
- 65歳以上の記憶に残る在宅ケア患者について話す(4-12)
- (年齢を問わず)記憶に残る在宅ケア患者について話す(6-13)

- 二番目のサンプル
- ​​1つの都市の24人のFPが手紙で招待
- DNによる在宅ケアを受けている患者の1人に対する個別のインタビューに参加するかどうか
- 8人が手紙に答え、参加することに同意

- 3つめ
- 全部で13回のインタビュー
- 分析によって飽和に達した
- インタビューガイド

データ分析
  • さまざまなバックグラウンドを持つ人々(2つのFP、DN、心理学者、およびGTMを専門とする研究者)で構成
  • オープンコーディングは、主にFPである筆頭著者(SM)によって行われた
  • チームメンバーは進捗状況を監視し、意見を表明した
  • 他の研究者は、軸方向および選択的コーディングプロセスに積極的に参加した

結果 

- FPは、在宅医療患者の治療においてDNと協力し、DNに依存することが不可欠でした。
- FPによると、病気FPの労働条件態度などの要因によって、この治療におけるイニシアチブのどれだけがFPがDNに保持または残されているかが決まりました。

 

  • 病気が医師の管理が必要か看護師のみに任せられるか
    DN 下肢潰瘍、栄養失調8B、失禁8B、および糖尿病検査13C
    FP 循環器疾患5A、12C、8B、癌治療10A、および疼痛管理5A、9D
  • FPの労働条件
    時間が足りない
    HCでのルーチン(ワーク
    異なる組織で働いているため
  • 態度
    計画的に訪問するか看護師からの要求まかせか

 


- 状況に応じて、2つの異なる役割が個々のFPによって採用されました:主導権を保持する医療指揮者と医療コンサルタント(DNに主導権を委ねる人)。
- 病気としての要因、コラボレーションに対するDNの態度、およびDNの作業条件は、FPがDNに依存する根拠が十分であると感じるかどうかに影響を与えました。
- FPの役割に関係なく、DNに依存する理由が十分であり、そうでない場合は問題がある場合、FPは治療の条件を十分に良好であると判断しました。


強みと弱み

- FPとDNの間のコラボレーションを概念化し、プロセスに影響を与える要因を与えるモデルを作成する
- インタビュアーが以前の自分の仲間にインタビューしたFPであることはより豊かでより個人的な説明をもたらす可能性と、調査されていない共通の理解のためにデータを取得する研究者の能力にも影響を与える
- コンサルタントとしてのFPがあまり積極的に関与していない患者に関するデータの欠如のため、より混合的な調査方法が必要


結語

- FPが相談役をつとめ、DNに主導権を委ねることがある
- 指揮者の役割では、FPは、DNに依存する理由が不十分であり、行動を起こすことができる時期を特定しますが、コンサルタントの役割では、FPはこれを検出せず、在宅患者を適切なサポートなしに残します。DNに依存する十分な根拠がある場合にのみ、FPが協議の役割を担う場合、在宅医療を提供するための条件は十分に良好です。

 

 

まとめ

在宅を始めたばかりの頃は、訪問看護師さんから来る「〇〇クリーム、切れたんでだしておいてください!」の連絡がどうも腑に落ちないなと思っていましたが、そもそも主導権は看護師のほうにあったことがわかりました。日本と状況もシステムも違うのでしょうが、訪問看護師は担当医とは別に自律的に動いているので、在宅をはじめた医師はそれに合わせていくことが必要らしいです。実際にどのようなスタンスをとるかというのが一つの研究課題になっているというのは面白いです。このあとの展開がどうなっているかも調べてみたいと思います。

 

 

*1:データをコーディングし、文章を細かく分断化したものにラベル付けして理論化する

*2:あらかじめ質問を用意しておくが状況や回答に応じて、質問や表現などを変化させる面接法