まちづくりと家庭医2

家庭医がコミュニティを育てる日々の記録

【臨床研究】在宅における看護師からサポートワーカーへの役割委任

おはようございます。久しぶりの投稿です。

なんとかたくさん論文を読みたいと思いつつ日々に流されてしまうので、少しずつ興味あるテーマの論文をストックしていこう、できれば形に残るようにブログ化することにしました。多分、他の家庭医療系ブログとは違ってあんまり役に立たないかもしれませんので期待はしないで大丈夫です。読解にはgoogle翻訳を活用しています。統計的なところやエビデンスの程度などはよくわからないのでざっくりです。

 

プロローグ

在宅医療で各職種が果たす役割は重要ですが、実際の訪問診療は医師一人で行っていることが多く、看護師は訪問看護という独立した事業を行っています。

大規模なクリニックでは基本的に複数で訪問しており、看護師、運転担当が同行します。最近では医療事務の資格を持ったアシスタントが同行することが増えており、看護師が同行しないことも多いようです。

昔ながらの往診は看護師と医師が自転車で訪問するという光景が思い出されますが、いまとなっては在宅も分業が普通なようです。

 

 

今日の論文

bmchealthservres.biomedcentral.com

この論文では、在宅の医薬品サポートの担当者が看護師の監督下で安全に業務が行われているかを調査したものです。地域はオーストラリアのモナシュ大学、メルボルンの近くのようです。

 

タイトル

看護師の委任および監督モデル内で、在宅高齢者に医薬品を提供するためのサポートワーカーの役割の評価

目的

CCA(community care aids)が実施する医薬品サポートの家庭訪問の数がモデルによって増加したかどうかを評価し、看護師、CCA、および消費者のCCAの拡大した役割に関する経験を調査し、医薬品サポートの委任に対するイネーブラーと障壁を特定すること

方法

前と後の混合方法の前向き研究で、2つの3か月間の在宅訪問データを比較

フォーカスグループとインタビューは、看護師(n  = 27)、CCAs(n  = 7)、および患者(n  = 28)のサンプルを使用して実施。

 

定量調査 

  • ケア活動の記録(実施前・後)
  • SPSSで分析
  • 単変量解析
  • カテゴリー変数 χ2乗検定
  • 非正規分布の連続変数 マンホイットニー検定

 

定性調査

  • 患者と介護者
  • 半構造化面接
  • 通訳あり
  • フォーカスグループ
    • 登録看護師、看護師、サポート担当者

 

エンドポイント

主なエンドポイント

  • CCAの訪問割合
  • CCAによる1回以上の訪問患者の割合
  • RN,ENの訪問割合

2次エンドポイント

  • 報告された薬物関連インシデント
  • 複雑なケアを必要とした訪問数
  • 短期滞在か長期滞在者の訪問数
結果
  • CCAによる医薬品サポート訪問は43 / 16,863(0.25%)から714 / 21,552(3.3%)に増加しました(p <0.001)
  • 看護師は、主に肯定的な経験とCCAに対する高いレベルの信頼と信頼を報告した。
  • CCAに委任すると、ナースとCCAを重複して訪問する必要がなくなり(パーソナルケアと薬のサポートが必要な場合)、より複雑なニーズを持つ人々を訪問できるようになった
  • CCAはその役割を拡大し、クライアントや介護者に受け入れられた。
  • 看護師とCCAは、医学関連の問題が発生したときに効果的なコミュニケーションを報告
  • CCAに関連する薬物事故は報告されていない
  • 障壁には、CCAの採用数が限られていること、一部の看護師がCCAに医薬品サポートを委任することをためらうことが含まれる
  • イネーブラーには、トレーニングとサポート、CCAと看護師間の既存の関係、スタッフの積極的な態度が含まれていた
限界
  • 経験の浅いCCAが役割に採用されている状況
  • 医薬品の安全性の結果は、インシデントレポートを分析することによってのみ評価され、インシデントの識別と報告に依存するため、エラー率が過小評価される可能性があること(実装前と実装後の両方)
  • 定量的評価は、看護師とCCAによって記録されたデータを利用し、独立して検証されませんでした。看護師やCCAが受けた教育の結果として、実施後の期間に薬剤サポート訪問の記録が改善された可能性がある。ですから、医薬品サポート訪問の増加のいくつかは、より良い記録の結果かもしれない。
  • 話し言葉、医薬品サポートの種類に関して、クライアント/介護者の面接の採用には選択バイアスがあった可能性
結語
  • 適切に訓練および監督されたサポートワーカーは、在宅ケア環境の高齢者、特に薬物の有害事象またはエラーのリスクが低い人々に医薬品管理を提供することで、コミュニティナースをサポートするために使用できます。このモデルは、看護師、クライアント、介護者に受け入れ可能であり、看護師が実践範囲の最上部まで働くことを可能にし、高齢者向けのコミュニティ在宅ケアの提供に潜在的に持続可能な安全で効果的な将来の労働力ソリューションを提供する可能性があります。

まとめ

看護師とサポートワーカーの役割に関する研究でしたが、定量と定性を組み合わせており、前と後でやってみたら結構できるのでもっとやらせてもいいという結論だと思います。日本だと医師と看護師の間でその議論がまだあったり(というより始まってすらいない)、この例と似ているのは訪問看護と訪問服薬な気がしますが、実際ビュートゾルフなどでもいろいろやる職種の中での比較なので、看護と薬剤師のような完全な職種縦割りとは違うような気がします。在宅での役割の明確化みたいな論文をちょっと読んでいきたいなと思いました。

では〜。