まちづくりと家庭医2

家庭医がコミュニティを育てる日々の記録

ソロプラクティスを整理する

人は誰しも一人である

とは偉人の言葉ではなく私の戯言である。

開業医は最初は必ず一人であるが、少しずつ人を増やしてグループとなる。

それには並々ならぬ努力と苦労が伴う。

いわゆる医療法人での仕事を振り返って思い出される。

リクルート、教育、マネージメント、常に問題が発生し、

様々な人材が関わって成り立っている。

 

いまだ一人でやっている家庭医である。

いずれは人並みに休みの取れるような体制をとりたいと常々思うわけだが、

二人、三人と増やしていくことを考えると、

しっかりと患者集客をやっていくことが必要になり、

コメディカルもたくさん雇用することになる。

 

ここでちょっと整理しておきたい。

ソロでやることがあまり良くないと言われがちなのは、いくつか理由がある。

 

意思決定がひとりよがりになる、密室で行われるかもしれない

在宅などではそうだけれど、たくさんの医療者が関わって一人の患者さんを診ている。

一つの薬を出すのだって、訪問看護の意見、薬局のチェックなどが入りつつ、

最終的に処方されている。個々の治療方針については医師単独になるが、

それが病院や複数の医師が勤務する診療所であったとしても、

個々の治療がピアレビューされないかぎり、主治医の意向で決まっている。

気をつけておくのは、倫理的問題をはらんだものだと思うが、

それも病院の主治医との連携で倫理委員会を通してもらうとか、

いまではそういう方法もある。医師会やピアグループをつくってもいる。

比較的危ない方向に進むことはないと思う。

家庭医の場合は自己省察が習慣化していることもあるから多分大丈夫だろう。

 

休めない、まとまった休みがとれない

外来だけであれば問題はないが、在宅24時間を抱えている場合は、

どうやって休むかを考える必要がある。

まったく都内から出てしまった時にどうするかについては、

とりあえず土日を診てくれる同じような医師を確保することで、

なんとかなっている。非常勤医師として登録し、自院の医師として

いざとなったら訪問してもらうことを約束している。

同じ医師会内でお願いする場合もある。

問題は長期の休みをどうするのか。学会が地方であったら。

昨年も名古屋だったが行かなかった。行こうと思えば行けたけれど、

オンラインで単位がとれるので行く必要がなかった。

もちろん、私が学会で大した役割をしておらず、当日いる必要がないように

しているからできることだ。

もし、何か企画なりプレゼンをするとなったら、そうはいかないだろう。

学会だといつも引き受けてくれる先生も同じ時期に不在となる。

これってどうすればいいのか、答えがない。

 

ひとまず、困っていることを整理してみた。

ただし、これは少し考えていることもある。

ソロで仕事をすることの良さを感じることがある。

ただ、自分を「開業医」として捉えているわけではない。

それは単なる事業を興したというだけの名称のようで、

やはり「家庭医」をやっているとよんだほうがいい。

たとえ、それが誤解を招きやすく、はっきりした定義をもたないとしても。

 

ソロプラクティスの良さについてはもう少し後に書こうと思う。